
2026年10月10日、金沢市にある金沢歌劇座で第26回東日本学校吹奏楽大会・中学生部門が開催されました。西関東地区の代表として埼玉県から参加した6つの団体は、金賞3団体・銀賞3団体という成績を収めました。
結果は各種メディアでも確認できますが、吹奏楽を愛するファンや保護者、部活に励む中高生が最も関心を持つのは「どんな曲を演奏したのか?その曲の聴きどころは?」ではないでしょうか。ここでは、埼玉から出場した6団体の演奏曲を個別に取り上げ、30人以内の少人数編成ならではの魅力と共にご紹介します。少人数ならではの音の繊細さが、聴く人の心に届くのがとても嬉しいです。
まずは結果を振り返りましょう:第26回東日本学校吹奏楽大会中学生部門における埼玉勢の成績

次に、埼玉県から出場した6団体の受賞結果と演奏曲目を一覧にしました。
| 賞 | 団体名 | 演奏曲(作曲者) |
|---|---|---|
| 金賞 | さいたま市立浦和中 | キャッツ・テイルズ(グラハム) |
| 金賞 | 越谷市立北中・北陽中(合同) | 天雷无妄(天野正道) |
| 金賞 | 志木市立志木中 | 風を織る(鈴木英史) |
| 銀賞 | 春日部市立豊春中 | 秘儀II(西村朗) |
| 銀賞 | 越谷市立平方中 | 秘儀IV〈行進〉(西村朗) |
| 銀賞 | 小川町立小川中 | スクーティン・オン・ハードロック(ホルジンガー) |
6団体すべてが金賞または銀賞を受賞しています。選曲を見ると、ジャズの要素が取り入れられた軽快な作品から日本の現代音楽、繊細な情景描写を持つ楽曲まで、幅広いラインナップが揃っていることがうかがえます。そんな多彩さに、聴く方も思わず胸が高鳴りますね。
東日本学校吹奏楽大会はどのような大会なのでしょうか?
6つの支部から代表が集結する「少人数バンドの晴れ舞台」
東日本学校吹奏楽大会は、北海道・東北・東関東・西関東・東京都・北陸の6支部から代表が集まる大会です。2026年は10月10日・11日の2日間、金沢歌劇座で開催され、小学生・中学生・高校の計60団体が出場しました。中学生部門は初日の10日に行われています。
中高部門は「30人以内」という編成ルール
特筆すべきは、中学・高校部門が参加人数30人以内のバンドを対象としていることです。大規模な編成では重厚なサウンドが楽しめますが、少人数編成では各楽器の音がはっきりと際立ちます。音色のクオリティやパートバランス、ソロの目立ち度が直接評価に結びつきやすく、隠し味のない真剣勝負の舞台と言えるでしょう。少人数ならではの息の合わせや表現の繊細さが、聴く側にも新鮮に感じられるのが魅力です。
なお、金賞は演奏の評価を示すもので、次の大会への出場権を必ずしも伴うわけではありません。代表選考の詳細については、主催者の公式発表をご確認いただくのが確実です。
金賞受賞3校の演目と注目ポイント
埼玉県さいたま市の浦和中学校「キャッツ・テイルズ」
英国の作曲家ピーター・グラハムが手掛けた「キャッツ・テイルズ」は、猫たちの個性を音で表現したユーモラスな組曲として評価されています。ジャズやラテンといった多様なジャンルが交錯する点が魅力です。
浦和中の演奏では、ボレロやスイングといった多彩なリズムが際立ち、鋭いアクセントが光ります。また、トロンボーンやユーフォニアムの音色も高く評価されています。リズムが頻繁に変わるため、少人数編成で全員のテンポを合わせるのは容易ではありません。低中音域の金管が歌うような音色で支えたことで、楽曲の楽しさが一層引き立ったと捉えられます。このように全員が息を合わせて演奏する姿に、地元の仲間意識の強さを感じますね。
注目すべきポイント
- 場面ごとにガラッと変わるリズムの「色替え」
- スイングの場面での軽やかな跳ね感
- トロンボーン・ユーフォニアムのまろやかなソロや旋律
越谷市の北中と北陽中が合同で参加した団体「天雷无妄」
アニメ音楽で名を馳せた天野正道氏の作品「天雷无妄(てんらいむぼう)」です。タイトルは易の卦にちなんだ言葉で、天野らしいドラマティックな展開とエネルギーが特徴です。
このチームでまず注目を集めたのは、冒頭のサックスソロです。曲の雰囲気を瞬時に作り出す重要なシーンで、印象的な演奏と評価されています。
見逃せないのは、2校が組んだ合同チームという点です。北陽中の正村真子さんは3年間の努力の成果を喜び、北中の牧有希乃さんは合同練習の難しさを乗り越えた手応えを語っています。学校が異なれば練習時間や環境も違うはずです。その中で本番までに改善を重ね、絆を深めて金賞を勝ち取ったストーリーは、多くの部活動生に励みになるでしょう。
注目ポイント
- 空気を張り詰めさせる冒頭のサックスソロ
- 2校の音がひとつに溶け合ったサウンド
- クライマックスへ向かうドラマチックな高揚感
埼玉県志木市の志木中学校「風を織る」
鈴木英史氏は吹奏楽コンクールで広く知られる作曲・編曲家です。「風を織る」はタイトルが示す通り、目に見えない風を糸のように重ねていくイメージを喚起させる作品です。
このような描写的楽曲では、各パートの細やかな音色の重なりや繊細な強弱表現が鍵となります。少人数編成だと音の透明感が出やすい反面、わずかなずれも目立ちます。志木中が金賞を獲得したのは、丁寧なアンサンブルが評価された結果と考えられます。
注目すべき点
- パートが織物のように重なっていく響き
- 弱音の美しさと透明感
- 流れるようなフレーズのつながり
銀賞を受賞した3つの団体の演奏は圧巻でした
春日部市立豊春中「秘儀II」――たった14名で挑んだ演奏
現代日本を代表する作曲家・西村朗さんの「秘儀」シリーズは、特有の音色と緊張感が特徴です。豊春中は14人という編成で、本作品の音を層にして演奏しました。大会は30人以内の編成が条件ですが、半分以下の人数で複雑なサウンドに挑んだ姿勢は、銀賞以上の価値があるように思われます。限られた人数でここまでの表現力を引き出すのは本当に感心しますね。
越谷市立平方中「秘儀IV〈行進〉」
同じく西村朗さんの「秘儀IV〈行進〉」を演奏した平方中は、速いパッセージを見事に表現しました。技術的に難しい箇所を次々と乗り越えた演奏でした。同じシリーズの別作品が同じ日に聴けた点も、この大会の魅力です。
小川町立小川中「スクーティン・オン・ハードロック」
米国の作曲家デヴィッド・ホルジンガーの「スクーティン・オン・ハードロック」は、ジャズ要素を加えた軽快で楽しい作品として知られています。ノリの良さとアンサンブルの正確さを同時に保つのは難しい曲で、聴く人を笑顔にさせる演奏が期待されます。
埼玉のチームが選んだ曲から読み取れる「少人数編成の戦い方」
埼玉から参加した6団体の曲目を見てみると、主に3つの傾向に分類できます。
- リズムとキャラクターで魅せる曲:キャッツ・テイルズ、スクーティン・オン・ハードロック
- 劇的な展開で魅せる曲:天雷无妄
- 響きと音色で魅せる曲:風を織る、秘儀II、秘儀IV〈行進〉
限られた人数で演奏する中で、各校は自らの長所が最大限に活かせる曲を選んでいるように感じられます。ソロの実力や金管の音色、リズム感といったバンドの個性を考慮した選曲なのだと思います。私が学生時代に少人数の吹奏楽部で演奏したときも、曲選びで自分たちの強みを活かすことが大切だと実感しました。その経験が、今でも演奏を見る目となっています。結果だけでなく「なぜこの曲だったのか」を思い描きながら聴くと、吹奏楽の楽しさが一層深まります。
ネット上に広がる祝福と感動の声
大会の結果が公表されると、吹奏楽を応援する方々や関係者から多数の祝福のメッセージが寄せられました。ここでは、投稿内容を概観し、共通する傾向をまとめています(個別の投稿は特定できないため、要旨のみを掲載しています)。
埼玉から出た6団体が全部金か銀ってすごい。西関東のレベルの高さを改めて感じた
X(旧Twitter)上の吹奏楽ファンの声(趣旨)
6団体がすべて上位賞を受賞したことは、本当に誇らしい結果です。地域全体で吹奏楽を支える土壌があるからこそだと感じます。音楽が地域に根付いているのを実感しますね。
2校合同で金賞って感動する。練習場所も時間も違う中でここまで合わせたのは本当にすごい
X(旧Twitter)上の吹奏楽経験者の声(趣旨)
合同チームの苦労は、経験者ほど身にしみて理解できるでしょう。生徒たちのコメントからは、乗り越えた達成感がひしひしと伝わってきます。
14人で秘儀IIに挑戦した豊春中、かっこよすぎる。少人数の大会ならではの魅力だと思う
X(旧Twitter)上の吹奏楽ファンの声(趣旨)
賞の色だけでは測れない挑戦がそこにはあります。30人以内の編成だからこそ、演奏に光が当たるのです。
キャッツ・テイルズ、聴いてみたくなった。中学生がスイングをどう表現したのか気になる
X(旧Twitter)上の音楽ファンの声(趣旨)
結果をきっかけに、演奏曲そのものに興味を持つ方が増えるのは素晴らしいことです。ぜひ原曲の音源もご覧になってみてください。
まとめ:結果の向こうにある「音楽」を味わいましょう
2026年10月10日に開催された第26回東日本学校吹奏楽大会中学生部門では、埼玉の団体が金賞3校、銀賞3校という素晴らしい結果を残しました。
- 浦和中は「キャッツ・テイルズ」で多彩なリズムと金管の音色を披露
- 越谷北中・北陽中は合同チームで「天雷无妄」に挑み、冒頭のサックスソロも印象的
- 志木中は「風を織る」で繊細なアンサンブルを聴かせた
- 銀賞の豊春中・平方中・小川中も、それぞれ難曲や個性的な曲に挑戦
30人以内という制約は、裏を返せば一人ひとりの音が主役になれる舞台です。 気になる曲があれば、ぜひ音源を探して聴いてみてください。 きっと、出場した生徒たちが積み重ねてきた時間の重みを、より深く感じられるでしょう。 私もこの演奏を聴くと、埼玉の音楽への情熱が胸に広がりますね。 出場したすべての皆さん、本当におめでとうございます!